狩猟型と農耕型ver2

前回の続き

彼が会社を辞める時、後にも先にも初めて私に悩み事の相談があった。今、考えると無理は無い。

親類の紹介で東京に就職し僅か半年で辞めるのだから・・・しかも時代が昭和70年代である。終身雇用という概念が普通だった時代だ。

恐らく彼は就職したと同時に「この仕事は自分には合わない」と感じたのだろう。しかし、流石に僅か半年での退職は紹介してくれた親類に迷惑が掛かるのではないか?と思い、それなりの葛藤の日々を送ったと想像できる。

ところで、この難しい問題に私は何と回答したか?

それは「辞めよう!今すぐ辞めよう!」だったと思う。

深い意味は無い。自分にそんな深く考えて答えを出せるような能力もなかったし、ただ単に「彼が今勤めている築地は遠いし、時間帯も合わないし・・・辞めればもっと会える」。そんな単純な事だ。

ただ、私は悩み事の相談があった事に少々驚いた。

彼はなんでも自分で決めてたし、悩んでいる姿など想像出来なかったから。

なんだか嬉しくもあり、ああこれから二人で東京で生きていくのだな・・・と実感した日でもあった。

次回に続く